皮膚科 DERMATOLOGY
当院の皮膚科診療
皮膚の病気は、日常的に良く起こり、症状に加えて見た目の変化も伴うこと多いので特に心配になります。皮膚疾患に関しては近年新しい薬が多く出てきており、治療への引き出しが増えてきておりますが、基本として外用薬は適切な量を適切に塗る、内服薬は回数を守って飲むということが大切なのは変わりません。
当院では、薬剤の塗布歴・内服歴をもとに費用やライフスタイルなどをご相談しながら、ご自身がご希望されるベストな治療を選択し、ご希望の方には専門機関もご紹介して参ります。
また、ドロップスクリーンという血液１滴でわかるアレルギー検査の最新機械を導入することで、小さいお子様でも安心して検査を受けられる体制を整えております。
ドロップスクリーン検査の詳細はこちら当院で扱う主な皮膚科疾患
アトピー性皮膚炎
「アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返す、そう痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ。」と定義されますが、簡単に言うと皮膚が傷みやすくて痒くなる体質があり、良くなったり悪くなったりすると言う体質です。全ての年代で生じますが、症状には個人差があります。家族に同じような人がいたり、喘息や一般的に言われる“アレルギーがある方”には生じやすい傾向があります。
皮膚が傷む⇨皮膚に炎症⇨かゆい⇨掻く⇨皮膚が傷む⇨初めに戻る
を繰り返すことで悪くなりますので、どこかで抑えていかなければなりませんし、日頃からケアをしなければなりません。
①炎症を抑えること
②スキンケアをすること
が基本になりますが、しっかりとした量を塗ること、状態が良くても急にやめないこと、投げ出さないこと、信じ抜くこと、これが一番大事です。
ステロイド・カリシニューリン阻害薬・ JAK阻害薬・ PDE4阻害薬などの外用薬を中心にスキンケアを指導していきますが、重症例には内服治療の適応を見ながら専門医療機関と連携を取って参ります。 また、特異的IgE検査を行うことで、悪化要因を避ける指標にはなります。
蕁麻疹
皮膚が突然赤く盛り上がり、跡形もなく消えたと思ったら再発を繰り返したりする痒みのある皮疹です。いわゆるアレルギーが原因のことと、関係なく生じる場合のパターンがありますが、マスト細胞が出すヒスタミンが原因であるため抗ヒスタミン薬による治療が第一選択です。６週間を超えたものを慢性蕁麻疹と言いますが、原因がわからないことが多く、継続した内服治療を要することがあります。
虫刺され
虫に刺されたり、虫の体液や体毛に触れたりことで生じるアレルギー反応です。部分的であったり、全身に症状が出たりすることがあり、ハチなどではアナフィラキシーという過剰反応を起こすことがあります。虫に関しては行動歴と皮疹の形態から典型的な場合には犯人？が推測できますが、そうでない場合には現行犯でないとなかなか難しいです（治療は大きく変わりません）。
ハチなどの場合には２回目に刺されるとアナフィラキシーのリスクが上がると言われており、スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチの特異的IgE抗体を測定することもあります。IgEが低値でも安心はできませんが、高値だとリスクがあるのでエピペンなどを携帯してもらう必要があります。
ニキビ
ニキビは思春期に入ったら必ず治療するべき疾患です。 一度“へこみ”などの瘢痕を生じてしまうと、治療は難しく、生涯に渡り残りやすいからです。
原因としては男性ホルモン（女性も出ます）・毛穴の角質が厚くなる・皮脂（アブラ）の増加などが挙げられ小さな“ニキビの赤ちゃん”（微小面皰）が生じ、そこにニキビ菌や白血球が反応して赤い“激おこニキビ”となって潰れて跡になってしまいます。
特に赤いニキビができる前の状態（微小面ぽう：ニキビの赤ちゃん）の段階で治療することが大切です。 保険治療で多くの優秀な薬が出ていますので、安易な化粧品に頼らずに、正しいニキビ治療をすることで、綺麗な肌を作りましょう。
尋常性疣贅（足の裏や手によくできるいぼ）
尋常性疣贅（じんじょうせいゆうぜい）とは、ヒト乳頭腫ウイルス（HPV）による変化で、手足によくできますが、身体中の至る所に生じ得ます。特に足の裏は荷重がかかり、深く入り込むと同時に角質も厚くなりミルメシア（アリの巣）などと呼ばれ、なかなか治りにくくなります。
液体窒素などでの冷凍凝固がよく行われる治療です。当院では痛みの少ない急速噴射器「クライオプロ」を導入し、効果的に治療を行えるようにしております。さらに早めの治療を希望の方は、電気メスによる凝固（自由診療）や、局部麻酔下でのいぼをハギとる『いぼハギ法』（保険診療）をおすすめしております。特に痛みに弱い小さいお子様には外用治療や内服治療などの個人個人に合わせた治療法を提案しております。
いぼハギ法の詳細はこちら
水いぼ（伝染性軟属腫）
水いぼとは、小さいお子さんに生じるいぼです。ポックスウイルス属のウイルスが原因により起こる皮膚の感染症で、正式には「伝染性軟属腫（でんせんせいなんぞくしゅ）」と言います。
１〜５mm 程度の白い光沢のあるいぼ（でっぱり）ができ、内部に白いカスが入っており、その中に多くのウイルスを含んでおります。掻いて潰すとウイルスが皮膚にばらまかれて、広がる傾向にあります。一般的にはウイルスに感染してから症状がでるまで2週間〜2ヶ月くらいのタイムラグがあり、良くなってもまた出現してきます。
ウイルス感染症ですので、免疫ができれば自然に放置しても治りますが、その期間は（6ヶ月〜5年）といわれており、意外に長引くタイプの人もいます。
当院の方針ですが、数が少ない段階で除去を希望される方には、麻酔テープ（ペンレステープ）を自宅から貼ってきてもらい（2時間くらい前から貼っておくと痛みがかなり少ないです）、特殊なピンセットで１つずつ取っていきます。麻酔テープ無しでは病院嫌いになるので、やめた方が良いでしょう。
多数あったり、除去を希望されない場合には、免疫獲得されるまで自然に待ちます。皮膚が乾燥して引っ掻いたりするとまた増えたり「とびひ」を生じたりするので、スキンケアが重要になります。肌質を見ながら、適度な保湿について一緒に考えていきましょう。
帯状疱疹・ヘルペス
子供の頃にかかった水疱瘡のウイルスが疲れや体調不良時に再燃する病気で、50代以降に急に増えます。最初は痒いようなむず痛い感覚があり、痛みが強くなり水ぶくれが出現してきます。ウイルスが増える早期の段階（むず痛い時）での内服治療をすることで、治癒後に痛み（帯状疱疹後神経痛）のリスクを減らすことができます。
クチビルや口角、陰部の単純ヘルペスは思春期以降に生じやすく、痛くてジュクジュクしたびらんを生じます。塗り薬はほぼ効果はなく、内服治療が適応です。 何度も繰り返し生じる方で、「来そうな感じ」がわかる方はあらかじめ薬を処方する「PIT療法」を行うことができます。
水虫・爪白癬・皮膚真菌症
皮膚科新患の14%を占める頻度の高い疾患です。暑い時期の足のジュクジュクした痒みは足白癬の典型例ですが、冬場のカカトが厚くなったり、ひび割れたりする状態も足白癬が原因のことが多く存在します。体や股に生じたり、頭のフケや化膿、背中のニキビの原因になる脂漏性湿疹も真菌症の一つです。
爪の変形（厚くなったり、白くなったり）は爪水虫であることも多く、顕微鏡下での白癬菌の検査が必要です。日本人の10人に1人が潜在的に爪白癬を持っていると言われております。
治療について
足白癬：足全体にしっかりと１〜2ヶ月塗る
爪白癬：内服薬をしっかりと飲む
多汗症
体の一定の部位で汗を多くかき、日常生活に支障をきたす状態を『多汗症』と呼びます。原発性局所多汗症は難治性疾患として適切な診断基準のもと段階的に治療が必要になります。現在当院では原発性局所多汗症診療ガイドラインに則り、当院で行える治療（保険診療・自費診療）を個々のライフスタイルに合わせて行っております。
主な多汗症は「原発性頭部顔面多汗症」「原発性手掌多汗症」「原発性腋窩多汗症」「原発性足底多汗症」に分けられますが、以下の診断基準を満たしている必要があります。
診断基準
- 発症が25歳以下である。
- 左右対称性に発汗が見られる。
- 睡眠中は発汗が止まっている。
- １回／週以上の多感のエピソードがある。
- 家族歴が見られる。
- それらにより日常生活に支障をきたす。
- 局所的に過剰な発汗が明らかな原因のないまま6ヶ月以上認められ、上記２項目以上が当てはまる。
原発性腋窩多汗症
よくある症状
- 冬でも脇汗が多く、人目が気になる、手があげられない。
- 白シャツがすぐ黄ばむため良いものを買えない。
治療
まずはコレ
- 抗コリン外用薬（エクロックゲル・ラピフォートワイプ）保険診療
- 塩化アルミニウム外用液10~20% 自費診療
欠点：毎日塗り続けないといけない（減らすこともできる）
次はコレ
ボトックス注射 保険診療
欠点：麻酔クリームをしても注射が少し痛い、費用がかかる（自己負担22,000円程度）
原発性手掌多汗症、原発性足底多汗症
よくある症状
手：テスト中に手汗で紙が濡れ破ける。指が消しゴムがわりになる。タッチパッドの誤作動が多い。
足：靴下が濡れやすく、足の皮がムケる。とにかく足が臭い。足が冷えやすく、冬はシモヤケになる。
治療
- 抗コリン外用薬（アポハイドローション）保険診療
- 塩化アルミニウム外用液20~50% 自費診療（比較的安い）
- 塩化アルミニウム外用液20~50%ODT療法 自費診療（比較的安い）
さらには
- 水道水イオンフォレーシス（ご自身で機械を買っていただきます）
- ボトックス注射 自費診療（高額、痛みが強いです）
原発性頭部顔面多汗症
よくある症状
営業中に額が汗だく、頭からも汗がひたたり、ハンカチを手放せない。一日に何度も化粧を直さないと崩れてしまう。
治療
まずはコレ
- 塩化アルミニウム外用液10~20% 自費診療
欠点：毎日塗り続けないといけない（減らすこともできる） - 抗コリン薬内服 保険診療
欠点：他の疾患があると内服することができない
次はコレ
- ボトックス注射自費診療
欠点：保険が効かないため費用がかかる。注射が痛い。