形成外科 PLASTICSURGERY
形成外科とは
「外傷(けが)」・「腫瘍(できもの)と再建(綺麗に治すこと)」・「先天もしくは後天性の形態異常(形の変化)」・「美容(より綺麗にすること)」と形成外科の分野は多岐に渡りますが、日常診療では、体の表面上で「何かできているぞ」とか「形や色がおかしいぞ」などとご自身でもわかる変化を医学的に診断し、治療する診療科だと考えていただくのがわかりやすいと思います。
機能性だけでなく最大限審美性を損なわずに治療することを専門としており、体表面の様々な部位の解剖学を熟知しております。
当院では特に、皮膚のできものやキズ・傷あと・色など目に見える形の治療を通して、心の傷を療し生活の質を上げることを目標にしており、従来の医療機関では相談しにくい小さなことも気軽に相談できる雰囲気を心がけております。
皮膚表面の状態というのは、ご本人もしくは、家族・職場の方などの生活基盤の近い方が一番最初に気づきます。小さな変化をそのままにせず、早めにご相談いただければと思います。
院長/形成外科専門医 苅部大輔
当院で扱う主な形成外科疾患
日常よく見る良性皮膚腫瘍(できもの)
爪の変形・巻き爪
ケガ、キズ、ケロイド、やけど
眼瞼下垂
眼瞼下垂多汗症・腋臭症(ワキガ)
多汗症・腋臭症(ワキガ)後から生じた変形 生まれつきの変化
耳垂裂、埋没耳、副耳、臍の変形(でべそ)、妊娠線の痕
実際の手術についてはこちら(苦手な方はご注意ください。)
当日診療とそのまま手術が可能です。
(*大きいもの、複数個ある場合は後日予定になることがあります。)
当日は診療と検査を行い、手術日程を別日で予定します。
日常で見かける良性皮膚腫瘍(できもの)
ほくろ・黒子(hokuro)
色々なほくろの形態
悪性のもの
ほとんど全ての人が1つは持っている皮膚の「黒いもの」ですが、小さい頃からあるものもあれば、大人になってから生じるもの、色々なところに生じ、また形や大きさも様々ですが良性のものです。
見た目や出っ張り・濃い毛が生えるのが気になったり、痒みや違和感が生じたりすることもありますが、悪性腫瘍との鑑別が重要になります。
以前はほくろから悪性変化することは少ないと言われていましたが、最近のWHOの見解では悪性変化もあるという見解もあり、しっかりとした術前診断や病理診断が重要になります。
当院では小さなほくろでも「見た目」だけで治療を行わず、しっかりと診断をした後にしかるべき治療を行なって参ります。
ほくろ診察の大まかな流れ(予約で当日処置可*)
ご予約はこちら(当日すぐオペ予約)
*大きいもの、複数個ある場合は後日になることがあります。
**病理検査の結果が判明するまでには2週間程度かかるため再受診が必要となります。
粉瘤(hunryuu shibounokatamari)
よくある粉瘤
毛穴が詰まり、袋状になってしまう「粉瘤」と呼ばれるもので、比較的良くみられる疾患で色々な部位に生じます。『脂肪の塊』とも呼ばれますが、実際は「垢(あか)の塊」です。アカですので、クサイ臭いがし、ばい菌が入ったりすると赤く腫れ上がり強い痛みを生じます(感染性粉瘤)。
徐々に大きくなる傾向があり、通常状態で消えることは少ないので、早めに摘出するのがベターです。部位により切除方法は変わりますが(くり抜き法、切除法)、術式にこだわるより、術後の変形、傷跡の経過を考えた手術を提案しております。
粉瘤診察の大まかな流れ(予約で当日処置可*)
*6cmを超えるものの場合には予定手術になることがあります。
大きいものは手術翌日に処置受診が必要です。1週間後に抜糸、病理検査を行った場合は2週間後以降での説明になります。
感染性粉瘤(kansenseihunryuu itaiodeki kanou)
赤く・腫れて・痛い!いわゆる「おできの腫れ」です。
小さいものは抗生剤で落ち着かせることもできますが、ある程度の大きさがあり炎症が強いものは、抗生剤を飲んでも何となくズルズル・ブヨブヨした感じが抜け切らずに長引くので、小さく切って膿を出してあげるのが圧倒的に早いです。待っていても仕方がないので、当院では当日すぐ処置を行います。
炎症が落ち着いてから、粉瘤本体を切除する必要があります。
感染性粉瘤の手術の予約はこちら感染性粉瘤の診察の流れ(予約で当日処置可)
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脂肪腫
皮下脂肪を触ると大きなグミのような硬さの“できもの”を感じたら、それは脂肪腫かもしれません。一般的に数年〜数十年にわたり、緩徐に大きくなる脂肪組織由来の良性腫瘍ですが、脂肪肉腫という悪性腫瘍との鑑別が特に重要となります。
皮膚の下の脂肪や筋肉から発生する腫瘍を軟部腫瘍と呼びますが、軟部腫瘍は見た目や触覚だけでの(良悪性の)診断が難しいため、「軟部組織腫瘍診断のアルゴリズム」にのっとり正確に診断する必要があり、その上で手術の適応などをしっかりと評価して参ります。
脂肪腫診断治療の流れ(基本的に後日の予定手術)
いぼ(ibo)
A:小さい子によく見られるいぼ(体中)
水いぼB:子供から大人まで多くの方に見られる(足の裏、手)
尋常性いぼC:大人に良く見られるいぼ
いわゆる“老人性いぼ”(脂漏性角化症)
色は黒褐色が多いですが、ほとんど肌色に近いものもあります。ベタっとした円形で触ると出っ張っており、何となく気になってしまいます。汗をかくと痒みを伴う場合、血が出ることもありほくろや他の悪性腫瘍との鑑別が重要です。ダーマスコピーで確実に診断をつけることが重要です。
健康保険での液体窒素治療、硝酸銀治療の他、自由診療での炭酸ガスレーザー治療などがあります。
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D:首や腋の下にいっぱいできるブツブツいぼ
ネズミの尻尾なんて呼ぶ人もいますが、アクロコルドンやスキンタックと呼ばれるいぼの一種です。液体窒素や鋭い剪刀で一つずつ切除、炭酸ガスレーザー治療などがありますが、多数ある場合には回数がかかってきたりします。
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E赤ぼくろ(akabokuro)
顔や体中に成人になってから生じる1〜3mmくらいの赤い円形のほくろのようなものです。正確には老人性被角血管腫という血管系のできものです。炭酸ガスレーザーのようなもので焼灼する治療がメインです。
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その他の腫瘍
準備中
爪の変形・巻き爪
陥入爪
名前の通り食い込んで痛い爪の状態です。爪の変形がなくても、爪の切り方が悪かったり、靴が当たったりすることで腫れてさらに食い込んで痛む・・・と悪化して行きます。不良肉芽といった変な盛り上がりが生じることもよくあります。陥入爪の原因により治療法を変えていきます。
巻き爪
爪が巻いてしまっている状態です。少しづつ広げるような処置をしますが、土台の問題もある場合は完全には治らないこともあります。
当院では「巻き爪マイスター+リネイルジェル」による処置をメインにしておりますが、程度の強いものの場合や母趾以外の場合には、通常の弾性ワイヤーで広げる処置を併用することがあります。
鉤彎爪・肥厚爪・その他の爪の変形
長年の経過で爪が正常に伸びる構造が破綻して生じます。治すことは困難で、爪をうまく削ることで付き合っていくような意味合いが強い状態です。当院でも削る治療を行います。また、尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・手足口病などでも爪の変形を生じることがあります。その場合には原疾患の治療をしっかりと行う必要があります。
ケガ、キズ、ケロイド、やけど
ケガ
子供は頭部が大きく重いため、顔や頭をよくケガします。特にオデコやアゴは皮下組織が薄く顔面骨の突出部があるため骨近くまで達するケガを生じやすく、血も出やすいため心配が募ります。
ケガをしたら、まず綺麗な布などで押さえます。指などの場合は決して縛らないでください。汚れていて受診まで時間がかかるようでしたら、水道で洗っても良いですが、痛みが強いようでしたら、そのままで構いません。土などの汚れはしっかりと落とさないと残ってしまうので、局部に麻酔をしてしっかりと取り除く必要があります。
動物によるケガ イヌ・ネコ咬傷・猫ひっかき病
動物の口の中は雑菌が多く、また動物は牙が刺さるため深部に唾液が入って感染を生じることが多いタイプのケガです。 状況により創部を開放して、処置を繰り返す必要があったり、腱に近い場合は感染予防のため安静目的に固定をしたりする必要があります。
処置・抗生剤治療に加えて、破傷風リスクを考慮し、20歳をすぎている方には破傷風トキソイドの接種を推奨致します。 ネコによるケガの場合にはいくつか特殊な菌がいる場合があり、しばらくしてからリンパ節が腫れたり発熱したり悪化することがあります(パスツレラ/バルトネラ)。動物によるケガは小さくても油断せずに診察を受けましょう。
耳介血腫
耳を圧迫したり、擦れたりすると軟骨と皮膚の間に血や体液が溜まって膨れ上がります。注射器で血液を抜いても1〜2日で溜まってしまう場合には耳をガーゼで固定するボルスター固定を行う必要があります。放置しておくと、いわゆるギョーザ耳というボコボコした耳変形を生じてしまいます。
キズ
A:感染や不適切な処置による治りが悪いキズ
きちんとキズが治るには条件があります。乾燥させてしまったり、カサブタを作ったりするとなかなか治りにくいですし、感染が生じると悪化したりします。状態に応じてオーダーメードの治療をする必要があります。
B:合併症による治りが悪いキズ
糖尿病や下肢閉塞性動脈疾患(Lower Extremity Artery Disease :LEAD)により、傷を治す能力に問題があり治らない傷です。この場合には傷の処置だけを行っていても治りませんので、血管の治療や血糖の管理等総合的な治療しなければなりません。
C:治っているが目立つキズ
ケガして治った状態から2~3ヶ月かけて傷は赤く盛り上がります。その後数ヶ月かけて少しずつ落ち着いてくるのですが、その間はどうしても目立ちます。時間を置いても盛り上がりや凹みがある傷跡に関しては、状態を見ながら手術的に治療を検討していきます。
ケロイド
傷がどんどん盛り上がって大きくなったり、ピアスや注射の後、ニキビの跡が盛り上がって来たりする物をケロイドと呼びます。体質によるもので、単純に切りとったりすると悪化するため、ステロイドテープや局所注射を行いますが、痛みやつっぱりなどの症状が強い場合には専門的医療機関での治療の適応となります。
熱傷(やけど)
熱によるもの、化学物質によるもの、摩擦によるものなど様々な要因でやけどを生じますが、受傷時の皮膚に対するダメージ(強度や時間)、受傷後からの適切な処置の有無によって様々な深度になり、治りが悪くなったり、アトになったりします。深さの判定は以外に難しく、浅いと思っているものでも容易に悪化したり、感染を生じたりします。浅いものでも早期からしっかりと受診する必要があります。
bFGFによる治療
眼瞼下垂
眼の開きが悪く、物が見えにくくなる変化を眼瞼下垂と呼びます。幼少時より存在するケースもありますが、多くは加齢やコンタクトレンズに伴う変化であり、開瞼するための筋肉によるものや(腱膜性眼瞼下垂)、皮膚の弛緩に伴うもの(弛緩性眼瞼下垂)などがあります。肩こりや頭痛、歯ぎしりの原因になるとも言われています。
治療は手術によるものが基本になり、健康保険の適応で、日帰りの手術で行うことができます。他院で行った手術に対する修正も可能であれば行っておりますが、美容的要素が強いものは自費での治療になるケースや治療自体を行えないこともございますので、医師とご相談ください。
多汗症・腋臭症(ワキガ)
体の一定の部位で汗を多くかき、日常生活に支障をきたす状態を『多汗症』と呼びます。 様々な部位で生じ、部位により治療法が異なります。
詳細はこちら一方で、腋窩のアポクリン汗腺が多いため、汗だけでなく独特の臭いを生じるタイプを『腋臭症』(ワキガ)と呼びます。このタイプの方はアポクリン汗腺を除去する手術(反転剪除法)も適応になります。当院では、日帰り手術(予定手術)での腋臭症の手術を行なっております。
後から生じた変形 生まれつきの変化
生まれつき、もしくはピアスで耳が裂けてしまう「耳垂裂」や耳をぶつけて腫れる「耳介血腫」といった外傷性によるものや、耳が立っている「たち耳」や埋まっていてマスクがしにくい「埋没耳」、耳の前の出っ張り「副耳」といった生まれつきのもの、小学校高学年になってもおへそが出っ張っている「でべそ(臍ヘルニア)」などがあります。ある程度の年齢になれば、日帰り手術での治療が可能です。